ミライ・ホスピタル MiRAi Hospital

大成建設は、未来の医療を見据え、医療現場が抱える様々な問題をデジタル技術で解決する次世代の病院を開発しています。
病院内の業務効率化と患者サービスの質の向上を推進するだけでなく、スマートシティと連携することで、地域社会の中でシームレスなヘルスケアサービスを提供できる、ミライ・ホスピタルを実現します。

MiRAi Hospital

病院計画とデジタル技術の融合・最適化

病院計画において、最新のシステムやロボットを導入するだけでは真の効率化は図れません。
先進的デジタル技術を利用することで、運用や動線も変化します。
ソフト(ICT)とハード(施設)を融合・最適化することが重要であり、
大成建設はそれを実現することが可能です。

未来の病院

先進的テクノロジーを活用し、運用動線の変化にあわせて、施設の最適化を図るために病院の運用シーンに合わせて、4つのテーマに取り組んでいます。

LifeCycleOSが医療環境を変える

IoT技術の進歩により、人・物の位置や状態、環境情報などの可視化が可能となりました。
ウェアラブルデバイスやIoTセンサーを活用し、クラウドシステムにデータを蓄積し、
病院のデジタルツインを実現します。
可視化することで入院患者の離院検知、心拍異常検知、室内環境の最適化、
医療機器の所在把握など業務効率化、医療安全の向上が期待できます。
将来的には蓄積データからAIを活用した分析・予測など、
さらなる業務効率化や行動予測による医療安全の向上を目指します。

病院 LifeCycleOS

入院患者の位置即位とバイタルデータ収集実証実験(新城市民病院で実施)

本実証実験では、ウェアラブルデバイスとIoT技術を活用し、入院患者の無断離院を未然に検知し、
バイタルデータから患者の状態を可視化し評価を行いました。
無断離院防止や転倒等の医療安全の向上に寄与し、バイタルデータの数値・グラフ化は患者とも
視覚的に共有しやすく患者体験(Patient Experience)向上にも繋がりました。

ウェアラブルデバイス装着によって得られたバイタルデータの利活用(事例)

ウェアラブルデバイスに記録されたバイタルデータ(心拍数、歩数、活動量等)を分析することにより、
以下のような効果や活用方法があることが実証されました。

病院IoTポータル

病院のデジタルツインの実現により、見守りの負担軽減、業務効率化、
医療安全・患者サービスの向上が期待できます。

多目的ロボットtemi

多目的ロボット「temi」を活用し、医療施設で使用するために必要な機能を追加した、新たな「temi」の開発を行っています。
医療施設での活用に特化した機能を持つことで、病院スタッフの診療を含む病院業務の効率化、「temi」に代行させることによる省人化、人との接触減少による感染リスクの低減が期待できます。

多目的ロボットtemi

「temi」を身近に活用するための仕組み

「BuddyBot®」※は、多目的ロボット「temi」におこなってほしい一連の行動を、プログラム言語を使用せずシナリオとして記述することを可能とします。
シナリオで利用可能な要素機能は60種類を超え、機能の例として「temi」の直接制御、外部クラウド連携、カメラ操作、タッチパネル操作、外部通知、IoT機器連携、汎用マスターテーブル読み込み、音声対話、外部パラメータ読み込み等があります。
これらを組み合わせることによって、医療施設の業務に役立つロボットを実現します。

「temi」が感染症病棟の
病室を回って遠隔回診

「temi」が感染症病棟の病室を回って遠隔回診

「temi」導入による実証研究開発に着手

現在、大成建設は名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター、モノプラス株式会社と共同で、
医療業務を支援するロボットとして多目的ロボット「temi」を導入し、
病院内での様々なニーズを探り、病院運用における上記の課題解決や病院業務の効率化、
省人化などに必要とされるシステムの研究開発を進めています。

外来や病棟での利用シーンを想定した
様々なユースケースを実証予定

No. 部門 ユースケース
1 外来 入院オリエンテーション(入退院受付)
2 入院 患者と患者家族(遠隔面会)
3 入院 患者と医療スタッフ(遠隔問診)
4 入院 医療スタッフと医療スタッフ(遠隔コール)
5 入院 医療スタッフと医療スタッフ(遠隔カンファレンス)
6 入院 入院オリエンテーション(病棟)
7 健診 健診受付、その他ニューノーマルなサポート
8 手術 術前オリエンテーション
9 外来 発熱・感染症疑い患者の誘導(サーマルカメラとの連携なし)
10 外来 発熱・感染症疑い患者の誘導(サーマルカメラとの連携あり)
11 外来 外来ナビゲーション(予約システムとの連携なし)
12 外来 研修医のサポートとして、指導医がtemiに憑依し、サポート
13 入院 動画記録
14 放射線 被ばく下での診療支援
15 管理 スタッフ間コミュニケーション対応
No. 部門 ユースケース
16 管理 院長や事務長などが院内巡回で使用
17 管理 書類搬送業務
18 外来 総合案内の補助(受付業務)
19 外来 外国語対応サポート(外来)
20 外来 各科の問診票搬送
21 外来 スキャン文書の回収・搬送
22 外来 診療材料搬送
23 入院 診療記録
24 入院 外国語対応サポート(入院)
25 入院 診療材料搬送業務
26 入院 鋼製小物搬送業務
27 入院 検体搬送
28 入院 医薬品搬送業務
29 管理 業者受付対応
30 移転 移転先のポイントにtemiを設置し、本部が定点チェックで利用

院内搬送ロボット

24時間患者と向き合う病院の中では、診療・滅菌材料や薬等の様々な「物」が院内の倉庫に一時ストックされ、倉庫から外来や病棟へ日々搬送供給されています。その中でも定時搬送は、倉庫から各部署へ決まった時間で搬送をしていますが、日中人手により搬送しているため、エレベーターがなかなか来ないことによる効率の低さや搬送スタッフへの負荷が問題になっています。
そこで、中型の院内搬送ロボットを活用し、日中の搬送ではなく夜間に搬送することで、以下の効果を得ることができます。

病院の“いきいき働く”を支援する院内搬送ロボット

効果

  • ELV稼働の平準化
  • 搬送スタッフの負担軽減
  • 24時間の搬送稼働による
    搬送効率化
  • 医療機能による変化に
    フレキシブルに対応

また、ロボットからエレベーター呼び出しなど設備と連携するロボット統合管理システムの開発にも取り組んでおり、サービスロボットが建物と切り離されたものではなく建物設備のような位置付けとして一体的に考えることで、院内の業務効率化を目指します。

新城市民病院での実証実験

愛知県の新城市民病院にて、院内搬送ロボットの実証実験を実施しました。実際の病院施設にて職員の物品搬送業務の代替または補助の役割を果たすことが可能かどうか、またロボットが人と共存した際の実運用の適応性や導入効果を検証しました。ロボット搬送時は、ロボット自身から音楽を流し、音声による注意喚起、人が行き来するエリアで走行速度を落とすなど細心に注意を払い実施しました。本実証において、いくつかの課題はあるものの、現状で人が搬送している物のほとんどを搬送する事が可能であることが分かりました。院内搬送ロボットの導入により、人の搬送業務の代替または負担軽減に繋がることが実証できました。

新城市民病院での実証実験

電波環境モニタリングシステムT-Hospital® Wireless Viewer

病院内の電波環境を自動で測定し、クラウドを活用することで病室の電波のつながりやすさを可視化し、遠隔で管理するサービスです。
電波測定を行うためには、病室の天井にBLEビーコンを設置したり、医療用カートの下部に測定装置を取り付けます。
病院スタッフが医用テレメータや電子カルテなど電波を利用する医療情報機器を安心して利用するための、電波管理業務をサポートします。

各病室の電波のつながりやすさを可視化