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UPDATE2021.08.23(Tue)

何が見えるか!?「従業員の見える化ツール」

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「見える化」だけでなく、行動も意識してみると…?

昨今、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が進展する中で、「〇〇の見える化」「可視化」というキーワードはよく聞かれます。
カメラを使って現場の状況を把握するといったソリューションはよく見られますが、今回は従業員の皆さんの所在や生体データをセンシングし、位置行動を解析するシステム(※)と組み合わせたソリューションを用いたPoCに挑んだ大成建設スタッフへのインタビューです
☆PoC(Proof of Concept) … 概念実証 製品やシステムの簡易版を作成し、実際に使うことで具体的な検証を行うこと

従業員に配慮した仕組み

大成建設では、建物に関わる様々な課題を解決するデジタルソリューションを提供するために、建物用途別に複数のワークグループを立ち上げ、活動を行っています。
その中の1つ、「スマートファクトリー」ワーキンググループ(以下WG)は名前の通り、工場などの生産施設を中心とした新たなソリューション開発を手掛けるWGです。

今回ご紹介する『従業員の見える化ツール』と銘を打たれたこのソリューションは、スマートファクトリーWGより生まれました。
ソリューションの仕組みとしては、IoT技術を活用して人の身体の状態や所在などをセンシング。そこから得られた情報を位置や行動特性を分析するシステムを用いることにより、生産施設内の作業効率の向上を図るというものです。
施設内の作業員から「生体データ」「位置データ」「作業環境データ」をリアルタイムでクラウドに取り込んで「見える化」することを目標としていました。


「従業員の見える化ツール」全体構成図

例えば…

1.従業員にスマートウォッチを装着し、生体データを収集
2.Aさんの心拍数が規定値より連続で20秒超えた!
3.現場責任者のスマホにメールで発報!
といったことが可能になります。

大成建設株式会社
エンジニアリング本部
エンジニアリングソリューション部
スマートファクトリーソリューション室
チーフエンジニア
松本 一衛

インタビュー

-早速ですが、こちらのソリューションが生まれた経緯や背景、近況を教えて下さい。

【松本】スマートファクトリーWGの一番の命題は、お客様が持つ生産施設の生産能力の向上・効率化です。「従業員の見える化ツール」は建物にもIoT機器を設置することになりますが、初回のPoCでお客様の生産設備を実験台として使わせていただくわけには行きません。
そのため、お客様の生産施設で試す前に、2018年から当社の建築・土木の建設現場でPoCを行うことになりました。

ひとえに「効率化」と言っても様々ありますが、今回のPoCでは「人」を中心において「人の運用」を効率化させることにしようと決まりました。
建設現場では、現場で働く人の動きを「見える化」させて、作業効率を向上させたいという課題がありました。加えて、夏場の建設現場で大きな課題となる「熱中症」を管理したいというニーズにもちょうどマッチしました。

初回のPoCは建築の建設現場で行いましたが、高い効果があったため、この取り組みが社内でも広がり、今度は土木の建設現場でも使ってみようという流れになりました。最終的には、複数の建築・土木の建築現場でPoCを行うことができ、その広がりの中で改良されていきました。

Apple Watch使用例
現場責任者へのアラーム発報

-熱中症は、近年安全面の身近な問題として、大きく取り上げられています。それらをモニターしてもらえると心強いですね。
実験を行ってみてハードルになったことなどありましたら教えて下さい。

【松本】生体データを取る機器としてApple Watchを使用します。アプリを常時起動していないといけないので電池の消耗が激しいんです。単純な話なのですが(笑)
作業所で毎日まとめて充電しておくなど、機器のケアも必要になります。

-確かにそれはPoCで試してみないと気づきませんね!(笑)

-それらのPoCの苦労で得られた知見や達成感はどのようなものがありましたか?

【松本】はい、「人の動線まで見えた」のが、このPoCの大きな成果でした。生体データと位置行動を解析するシステムを組み合わせることで、「いまどこに人がいるか」が分かるだけでなく、人の動きまで「見える化」されました。

【土木建設現場での利用事例】 従業員の所在や軌跡がリアルタイムで表示されます。
設定した特定エリアに立ち入った場合、現場責任者などにアラームを発報できます。

マップに映ったデータを分析することで、例えばA室からB室へ移動するルートが従来想定していた人の流れとは異なることが分かったという事例もありました。
さらに、①そのルート沿いにある障害物を取り除くことで、従業員の移動がよりスムーズとなり、作業効率の向上につなげられる、②生産設備が故障した場合に、ベテランの従業員はどのように行動するかを分析することで、非常時の作業効率向上につなげられる、などデータで得られた情報を様々に活用できることが分かり、「従業員の見える化ツール」導入の大きな価値を感じました。

-自分以外の人の移動ルートなんて普段意識しないですから、色々なものが見えてきそうですね。
このPoCの「大成らしさ」と言えるものはありますか?

【松本】大成は人を守る、「人」を大事にする、見守るという部分です。このPoCも「人」を中心において作られたことが「大成らしさ」と言えるでしょう。

-なるほど。「効率化」といっても様々ありますが、「人」に焦点を絞った部分が大成らしさということですね。
それでは、最後に読者の皆様に一言お願いいたします。

【松本】「従業員の見える化ツール」は当社内でのPoCによって知見・ノウハウが得られたので、今後はお客様の生産施設に対する技術提案の一つとして組み入れることでより強いアピールポイントにしたいと思っています
これまで人の動きが見えなかったので、それを「見える化」することで新たな効率化の可能性が広がりました。今回は生産施設を想定したPoCでしたが、医療・福祉施設やビルメンテナンスなど、建物用途に応じた様々な利用シーンを想定して、より改良を加えて様々な大成建設のサービスとして提供していきたいと思います。

-ありがとうございました。

人の流れを見える化した『従業員の見える化ツール』。今後の拡張が期待されます。

※位置行動を解析するシステム
… 「従業員の見える化ツール」は、位置行動分析IoTプラットフォーム「GeoSTRATOS」をベースとして、大成建設株式会社と株式会社インフォキューブLAFLA(神奈川県横浜市)が共同開発したものです。

(コンテンツ作成日 2021年8月)
※本コンテンツに記載された情報(役職・数値・固有名詞等)は初期掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

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